この辞書には「造語」の指示が目につく。 「前後」では「前とうしろ」という本来の意味に対して 「ぐらい、内外」(例)十人前後、百円前後 が造語になっている。名詞の後に接尾語のようにつける用法は場所を表す漢字本来の意味から転化したため造語扱いにしたのか。 他の語では、 だい【代】(p.866)「時代、... 続きをみる
2017年6月のブログ記事
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それぞれ30歳前後、40歳前後の人を表す和製英語。 古来から「みそじ」「よそじ」という美しい日本語があるのに、と思う。 ならば、50歳以上は中国語とチャンポンにして 50代=アラウー 60代=アラムー 70代=アラチー 80代=アラパー 90代=アラジウ 100代=アラバイ ではどうだろう。まった... 続きをみる
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これらの語が副詞的に使われることがある。若者層が好む言い方。 基本、毎日来る。 結果、ノイローゼにおちいった。 それぞれ「基本的に」「その結果」の一部をはしょったものだが、なんだかぎこちない。
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でんぷんで作ったうすくすき通った膜(まく)。ゼリーや粉薬を包む。 昔は風邪を引いたとき、なめくじをオブラートに包んで飲み込むと良いといわれたが、今はなめくじも見かけなくなった。 はっきりものを言わないことを「オブラートをかぶせたような言い方」と誤った使い方をする人がいる。かぶせただけでは中まで丸見... 続きをみる
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聞いて気にさわる(うるさく思う)ようす。 「障る」があるのでマイナスイメージなのですが、「耳障りがよい」という誤用が広がってきました。「障る」の語義が脱け落ちています。 この場合、「耳当たりがよい」と言いかえるべきなのですが、誤用もいずれは正用になるかもしれません。 なお、「耳触り」は良い、悪いの... 続きをみる
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「意外」は思ってもいなかった(ようすという気持ち)。思いのほか。 これがときどき間違って「以外」と書かれる。「以外」は「…のほか」と、人間心理とはまったく無縁のことばだ。どうして間違えられるのかまことに「意外」だ。 しかし、「意外」→「以外」だけでなく、「以外」→「意外」の間違いもある。文章の脈絡... 続きをみる
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「つなぐ」、「つながる」は昔からあったが「つなげる」は後発の感じがする。 「つなげる」は「つなぐ」だけでなく「つなぎ合わす」や「つなぎ留める」「つなぐことができる」のような多様な意味ももつので広まったのだろう。しかし、どうも「げ」の音が耳障りだ。 「つなぐ」が後にきた「食い繋ぐ」では「食いつなげる... 続きをみる
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ひじょうに腹がへっている。 「腹ペコ」のような俗っぽいニュアンスはない。 空腹を表す「ひだる(饑)し」を語頭の「ひ」だけで止め、後に「もじ(=文字)」と形容詞語尾「い」がついた。 これは「恥ずかしい」→「はもじ」、「寿司」→「すもじ」、「杓子」→「しゃもじ」のような文字詞(もじことば)である。女房... 続きをみる
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またとないほどすぐれた品物や作品など。 このことばを見たとき「品切れ」を連想してしまったが、その意味はなさそうだ。 「新明解」によると「絶」には六つの意味がある。 ①(糸を)たつ。(例)断絶、中絶 ②たえる。無くなる。(例)絶望、絶無 ③やめる。(例)絶交、絶食 ④へだたる。(例)絶海、隔絶 ⑤他... 続きをみる
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「三国」は 〔文〕「代議士」の別の呼び名。 としているが、これだけでは物足りない。「新明解」のほうが鋭い。 〔選出された、りっぱな人の意〕「代議士」の異称。(理想像を述べたもので、現実は異なる) 最後の()内の注釈はレベルが低すぎる2世議員を皮肉ったものだろう。
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「飲んでのどを通す。『酒を一気に飲み込む』」 「三国」の解説はこれだけだが、もう少し説明をふやしてほしいところ。 ①〈飲み下す〉土石流は100軒の民家を飲み込んだ。 ②〈理解する〉私はあなたの言うことがよく飲み込めません。 ③〈抑える〉口先まで出かかったことばをかろうじて飲み込んだ。
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〔和製 high tension〕興奮・緊張(キンチョウ)などで、気分が高揚(コウヨウ)しているようす。 ①「和製」とはよく書いてくれた。英語の high tension は静かな飛行場で突然銃の乱射があったときのような緊張感、切迫感を言うのではないか。 また「テンション」(p.1026) の項... 続きをみる
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「年配」と「年輩」にはどんな違いがあるのだろうか。 「年輩」は漢籍にも見られる本来の表記で、年輩の人が好んで使う。 一方 「年配」はわが国における当て字で、中年という意味で広く使われているようだ。それならせんぱい【先輩】、こうはい【後輩】はなぜ「先配」「後配」と書かないのか。やはり当て字は重みがな... 続きをみる
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(造語)①…するのがつらい(例)「(暴言が)聞きづらい」「(老眼で)読みづらい」 ②「にくい」(造語)の新しい言い方。(例)「(消えかかった文字が)読みづらい」 意味の境目が今一つわかりづらい(わかりにくい)説明だ。 これは「…するのが難しい」を表す「づらい」「にくい」「がたい」がすべて「づらい」... 続きをみる
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「スポーツの練習試合などで着る、ランニングシャツ形などのゼッケン。ビブ」とある。サッカーファンならご存知だろう。しかしこれは「(赤ちゃん用の)よだれかけ」が原義だ。今はまだ知らない層も多いが、サッカー熱が上昇してくれば浸透してくるかもしれない。
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国語辞典は「定義」を必要とする点で外国語辞典と異なる。和英辞典では「右」=right、「左」=left ですむところが国語辞典ではそうはいかない。 ①東に向いたとき南にあたる方。大部分の人が、食事のとき箸 (はし) を持つ側。(デジタル大辞泉)それなら、右手がないため箸が持てない人にはどう説明する... 続きをみる
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大学入試問題などの難易度が易しくなることをいう。しばしば誤って「えきか」と言われる。「易」には主に次の2つの読み方がある。①〔漢音〕「えき」つまり「変わる」の意。②〔漢音・呉音〕「い」つまり「易しい」の意。「容易」「安易」のように「易」が後に来るときは「い」と読むのに、「易化」のように前に来るとき... 続きをみる
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ここでは漢字「戦」を使った訓読みを見てみる。次のことばはどう読むのだろう。 「戦い」「戦う」「戦き」「戦ぎ」「戦く」「戦ぐ」 答えは 「たたかい」「たたかう」「おののき」「そよぎ」「おののく」「そよぐ」である。 100種類もの読み方を持つ「生」にはかなわないが、1字で7種類の読み方があるのは多いほ... 続きをみる
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「金欠」とはちょっと違う。金欠は持ち金がまったくないが、「手元不如意」は家に帰ればあるけれど今「手持ち金」がない状態だ。このことばには一概に老人語といって片付けられない味わいがある。
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最近「れる」「られる」の安易な使い方が気になる。敬語表現が乱れている。 筆者の体験談。旅行先で女性のバスガイドが「あまりお時間がありませんから、お昼は早めに食べられてください」とのたまった。こんな時は「召し上がる」を使ってほしい。 もう一つ。若いリポーターが年輩の人に「仕事は何をやられているのです... 続きをみる
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「尖端技術」ということばが生まれたと思ったらあっという間に「先端技術」に取って代わられた。「尖」が常用漢字に入っていないという理由である。ところが、韓国語では日本語の「尖端技術」を直訳した「チョムダンギスル」が今も使われている。こちらのほうが先鋭な感じがするが。
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〔俗〕まったくの逆。正反対。 このことばの響きに違和感を覚えるのは訓読みの「ま」と音読みの「ぎゃく」が混在しているからである。この言い方は某女性タレントが言い始めたのが広まったのか。今ではNHKのアナウンサーもふつうに使っているようだ。
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ちょっと前まで使われていた「便所」はもはや死語になったのか。「トイレット」も長いので「トイレ」に吸収されてしまった。外来語に「お」をつける「おトイレ」や、人間だけでなく「犬のおトイレ」という使い方にも違和感を覚えなくなった。慣れは恐ろしい。日本語には「手洗い」「手水」「離れ」「後架」「ご不浄」「雪... 続きをみる
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あいづちとして使われる「そうなんだ」は関東方言である。「へえ、そうなんだ」「ああ、そうなんだ」は「へえ、そう」「ああ、そう」でいいと思うが、流れに逆らうのはむずかしい。
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お言葉とは「ことば」の尊敬語。用例として「天皇陛下のおことば」とある。 ただ、何事にも例外はあるものだ。某左翼新聞は「天皇陛下のことば」といってけっして「お」をつけない。違和感を覚える。
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まんちゅういん【満中陰】〔関西方言〕《仏》49日の忌(き)明け。 関西生まれで関西育ちの筆者にとって、「関西方言」という言い方はガツンと頭を叩かれたようだった。 そもそも「中陰」はサンスクリット語のantara(中間の)bhāva(生存状態)を翻訳したものである。インドの仏教においては、臨終の日(... 続きをみる
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「三省堂国語辞典」は小型サイズながら新鮮な切り口、語釈で人気をあつめています。しかしここでははす(斜)に構えた見方で切り込みます。