みぎ【右】(P.1477)

国語辞典は「定義」を必要とする点で外国語辞典と異なる。和英辞典では「右」=right、「左」=left ですむところが国語辞典ではそうはいかない。
①東に向いたとき南にあたる方。大部分の人が、食事のとき箸 (はし) を持つ側。(デジタル大辞泉)それなら、右手がないため箸が持てない人にはどう説明するのか。
②アナログ時計の文字盤に向かった時に、一時から五時までの表示のある側。(新明解国語辞典)なるほど、六時は入らないのか。
③横に広がる(ならぶ)もののうち、一方のがわをさすことば。「一」の字では、書きおわりのほう。(三国)ちなみに「左」(p.1275)を見ると「横に広がる(ならぶ)もののうち、一方のがわをさすことば。「一」の字では、書きはじめのほう」とある。
 各書ともユニークな解釈で個性を出そうとしているが、目に見えないものの説明は本当にむずかしい。ご苦労さまなことです。

いか【易化】(p.61)

大学入試問題などの難易度が易しくなることをいう。しばしば誤って「えきか」と言われる。「易」には主に次の2つの読み方がある。①〔漢音〕「えき」つまり「変わる」の意。②〔漢音・呉音〕「い」つまり「易しい」の意。「容易」「安易」のように「易」が後に来るときは「い」と読むのに、「易化」のように前に来るときは「いか」では軽いのか「えきか」を借用したと思われる。

いくさ【戦】(p.66)

ここでは漢字「戦」を使った訓読みを見てみる。次のことばはどう読むのだろう。
「戦い」「戦う」「戦き」「戦ぎ」「戦く」「戦ぐ」
答えは
「たたかい」「たたかう」「おののき」「そよぎ」「おののく」「そよぐ」である。
100種類もの読み方を持つ「生」にはかなわないが、1字で7種類の読み方があるのは多いほうと言えようか。