2017年7月のブログ記事

  • べき【可き】(p.1381)

    〔助動詞「べし」の連体形〕 「信頼すべき情報」「いかに生きるべきか」などのように動詞のあとにつく。 最後に「そんなことは言うべきでない」を「そんなことは言わないべきだ」は、俗な言い方」とある。さすが「三国」の説明は行き届いている。  娘が出産の際病院の不手際によって極度の後遺症が残ったため母親が裁... 続きをみる

  • さほう【作法】(p.578)

    ここでは「作法」の読みかたについて。 ①さほう ②さくほう ③さっぽう ①は起居動作の正しい方式。現在は「ク」が脱落したこの読み方が主流。 ②は〔文〕で(文章などの)作り方。(例)小説作法。改まった感じ。 ③写真家の土門拳は自著「写真作法」を「しゃしんさっぽう」と読ませている。さらに改まった感じだ... 続きをみる

  • あお【青】(p.8)

    一つの色のはばは広い。「青」といっても秋晴れの空や深い海ばかりではない。 信号の「青」はどう見ても緑だったり、つやのある馬の「青」は青みがかった黒だったりする。 「青々とした」と繰り返すとまぎれもなく青色を表すが。純粋な和語は奥が深い。

  • いっぴん【一品】(p.88)

    ①ひとしな ②ただ一つのしな ここでは①について。「いっぴん」と「ひとしな」ではニュアンスがちがう。 「ひとしな」の項目だてはない。 前者は音読み、後者は訓読み。もともと「いっぴん」と読んでいたところに後から「ひとしな」の読みが出てきたのか。訓読みは柔らかく女ことばの感じ。

  • おくさん【奥さん】(p.175)

    奥さん=自分の妻、かみさん。 自分の妻を他人に紹介するのに「久しぶりに奥さんと出かけました」というのは照れ臭い。「久しぶりに女房(家内)と出かけました」なら抵抗がない。 「あなた」も妻が夫へ呼びかけるときに使ったが、今は夫が妻への呼びかけに用いるようになった。ことばは時代とともに変わる。

  • パンダ (p.1249)

    「ヒマラヤから中国にかけての産地にすむ動物。特に、ジャイアントパンダ」 辞書の説明は、当然のことだがパンダを巡る社会的背景については書かれていない。 例えば、上野動物園のパンダばかりを追いかけるマスコミは明らかに視野が狭い。生まれたときには号外を出す大はしゃぎの新聞まで現れたが、すぐに死亡してしま... 続きをみる

  • かんしょく【完食】(p.308)

    〔俗〕「(量の多い料理を)ぜんぶ食べてしまうこと」 〔俗〕とあるのはこれがTVから出た俗語だということ。 「量の多い料理」は必ずしもそう言えないときもある。2、3人前なら良いが、「おいしい鰻重を完食した」では1人前でも使う。 「新明解」や「広辞苑」に載っていないのはまだ完全に市民権を得ていないから... 続きをみる

  • くびをきる【首を切る】(p.409)

    「首を切る」は「(勤めている所やその他の地位)をやめさせる」 「三国」にはないが 「首を斬る」は文字通り首をはねてしまう怖さがある。

  • ことばがり【言葉狩り】(p.524)

    「特定のことばを悪いものとして、出版・放送などで使わないように圧力をかける〈使用を過剰にひかえる〉こと」 いつから放送禁止用語辞典ができたのだろう。対象となる語を一度でも使うと「それっ」とばかりこてんぱんに叩く。ひと昔前の文学作品にはそういったことばがいっぱいあった。それを出版する側は「今日では妥... 続きをみる

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  • よびすて【呼び捨て】(p.1611)

    「さん」「君」などの敬称をつけないで、名前だけで呼ぶこと。 日本では現職の首相が一部左傾集団から呼び捨てにされることがある。まるで被疑者か犯罪者扱いされたようで気分を害する。 こんなことは日本だけではないか。お隣の某国では裁きを受けている前大統領も必ず「被告人〇〇~씨(氏)」と呼ばれ、呼び捨てにさ... 続きをみる

  • ちゃう (p.939)

    「〔関西方言〕ちがう。…じゃない。」 その通り。「ちゃうちゃう」と強めることもある。 次の意味が即座にわかればあなたも関西通。 「これちゃうちゃうちゃう」「ちゃう、ちゃうちゃうちゃう」 標準語では 「これはちゃうちゃう犬とちがいますか」「いいえ、ちゃうちゃう犬ではありません」

  • ふかぎゃく【不可逆】(p.1321)

    「もとどおりにすることができないこと」 化学の世界にはあてはまるが、転じて政治の世界で使われるとその限りではない。 何事も辞書通りにはいかない。

  • やばい (p.1566)

    「あぶない」、「まずい」とよくない場合から 「すばらしい」と良い場合にも広く使われる。 「業績がよくないからボーナスは5割減だ」「やばいね」 「業績がよかったからボーナスは5割アップだ」「やばいね」 実際は悪いことのほうが多い。感嘆詞のように「やばっ、やばっ」と繰り返されると、他に言い方がないのか... 続きをみる

  • だいさんごく【第三国】(p.872)

    「そのことに関係している国以外の国」 これが左傾化した新聞の手にかかると差別語扱いになる。 「日本と北朝鮮の(サッカーの)試合は開催国ではなく『中立国』で行う」のように。 いったい何のために、また誰に気兼ねして第三国→中立国と言い換えるのか。本辞書「三国」は差別語にならないのだろうか。

  • げす【下種】(p.441)

    「下品。下劣」 「三国」の項目立てにはないが最近「ゲスの極み」ということばをよく耳にする。 これより卑劣な人間はいないという最低レベルの卑語。 今は選良と言われた代議士先生までが平気で使う。これを使う本人が「げすの極み」だということに気付いていない。社会はここまで下劣になったのかと思うと嘆かわしい。

  • しちごちょう【七五調】(p.628)

    「(韻文で)七音・五音と続いた形を繰り返すもの」 某在京テレビ「YOU は何しに日本へ」はなかなかの人気番組なのだが YOUが威圧的で上から目線に感じられるタイトルだ。「YOU」の代わりに「Sir」にしたら どうかと思うが即却下されるだろう。 詩や歌にはロマンを感じるものがいっぱいある。 「我は海... 続きをみる

  • ひじょう【非常】(p.1271)

    「(形動ダ)ふつうの程度をこえているようす。」 (例)「非常な努力」「非常にうれしい」 これらは自然な使い方だが、「非常に」のあとにじかに動詞をぶつける舌足らずな言い方がはやっている。 「非常に思う」「非常に感じる」 「強く」のような語句を略してストレートに言ったのかもしれないが、ぎこちない。

  • 存じ上げる【存じ上げる】(p.862)

    「知る・思う」をけんそんして言うことば。 最近は若い者が「知りません」「存じません」の代わりに多用するが、その容貌や言動と合わず、ことばが浮いて違和感を覚えることがある。

  • うつりこむ【写り込む】(p.1124)

    「写真の中に、偶然写る」 『大辞林』は「写真で、予期しない余計なものが写ること。」とある。 なお 「込む」(p.532) は 「すっかり…する」「じゅうぶんな程度になるまで…する」 とある。なるほど、そこで「偶然」「予期しない余計なもの」という意味が出るのか。 ●「東京駅の写真に写り込んだ『奇跡』... 続きをみる

  • ガチ (p.267)

    「本気・本格的であるようす」(ガチンコから来ている) いやなことばが次から次へと出てくる。ロートル層はまず使わない。 「ガチ切れ」(心の底から腹をたてる) 「ガチ泣き」(号泣) 「ガチ笑い」(大笑い) 「ガチ食い」(腹いっぱい食べる) 「ガチやせ」(極度のダイエット) 日本語がガチ乱れている。

  • れっか【劣化】(p.1662)

    「時がたつにつれて、品質・性能がおとってくること。」 意味が転化して人や国に対して使われる。好意は感じられない。「老化」よりもキツい。 ●「劣化する日本人」 ●「東京劣化」 ●「アメリカが劣化した本当の理由」 これらはすべて本のタイトルだが、ひとりが使い始めるとすぐ右へならえする。 こういう日本語... 続きをみる

  • いついらい【何時以来】

    これは「いつ」と「以来」の合成語なので、辞書の見出しにはない。 英語 since when の直訳だろうか。なんとなくぎこちない。 1.最後に~したのはいつ以来だろうか。 2.最後に~したのはいつぶりだろうか。 けったいな言い方が出てきたものだ。 「最後に~したのはいつのことだったか」でどうだろう。

  • -かつ【-活】(p.268)

    (造語)(⇐活動)ある目的のために活動すること。「美活」「終活」 他に「就活」「転活」「婚活」「妊活」「朝活」「特活」など。 これらは主に4音節から成る。それは口調が良いからだろう。 それなら、3音節の「部活」はどうだ。部活動ではなくクラブ活動の略と見て「クラ活」と4音節にしたほうが響きがよい。 ... 続きをみる

  • ユニセフ (p.1588)

    「戦争や災害にあった国の子どもの幸福と栄養と健康を守るために作られた。国際連合の補助機関。」 まったく異議はないのだが、辞書は定義以上に書けないきれい事に映る。テレビや街頭で盛んに呼びかける募金に応じても、その金はどこに使われるのか。かつて学校の生徒から徴収した赤い羽根共同募金や東北地震募金は有効... 続きをみる

  • アベック (p.37)

    ことばの海でもどんどん世代交代が進む。 〔古風〕とあるが、まさにその通り。 「アベックパトロール」「アベックホームラン」「アベック闘争」の例が上がっているが、最後のは聞いたことがあるような、ないような。 「アベック」をもじって「ツーベック」もはやった。この語を知っている人はかなりの年輩。今は「ダブ... 続きをみる

  • そうなんだ (p.841)

    「(感)おどろき・不満などを示す、あいづちのことば。」 これは東京方言だが、東京人によるこの辞書は「東京方言」の存在を絶対に認めない。 特に東京人があいづちに使うときのきざなニュアンスには触れていない。 一方、あいづちではないが「なんだ」(p.1125)には 「〔関西・中国・四国方言〕なかった。(... 続きをみる

  • たちいち【立ち位置】(p.897)

    ①(舞台上での)立つ位置。 ②立場。 問題になるのは②である。ここにあがった用例「自分の立ち位置を知る」は「関東方言」ではないのか。この言い方は関西では使われず「自分の立場を知る」という。我々はもちろんこの用法を知ってはいるが、実際に使うとなるとキザに感じられておもはゆい。 思うに東京弁は複合動詞... 続きをみる

  • えびす【恵比寿】(p.148)

    「恵比寿」にまつわる言われはともかく、ここでは表記法について。 以前は「ゑびす」「ヱビス」と書いた。 今は「ゑ」や「ヱ」は廃字になってしまったのか。 国語辞典であるからには、一言触れてほしかった。